2012年11月13日火曜日

OSJ八ヶ岳スーパートレイル100マイルレース<中編>

50kmを越え、舗装路へ。
舗装路を下って第一関門、清里に到着。時間は11:53。



エイドでは、バナナやグレープフルーツ等果物が振る舞われていた。
ジェルやバーばかりだとあまりにも味気ないので、有難い。

エイドではsokenさんやしょんしょん丸さんと合流。

お二人とも私よりずっと速いランナー。
もしやかなりのハイペースなんじゃ。。。。












■コース概要(第一関門-第二関門)

第一関門(54km地点)の清里から第二関門(96km地点)松原湖公民館前までのコースは、起伏に富んだコース。区間の序盤を除いて林道か舗装路。トレイルではないアップダウンがどのようにレースを左右するだろうか。。。


第一関門(54km 清里)~第5エイド(60km 平沢峠駐車場)

第一関門以降はようやくストックが使用可能となる。
迷わず関門でストックを取り出し、ロードの下りから使い始める。

ストックは登りでも重宝する道具だけど、下りでもかなり使える。

ストックなしの場合は、着地時に負荷が大腿部や膝に集中するのだけど、ストックを前脚替わりに使うと、ストックと脚で負荷分散が出来る。
まさに4本足で走る動物のような感覚。

下りを4本足でひた走る。





















途中、街路樹の紅葉に足を止める。
鮮烈な赤。これから何度、写真を撮るのに足を止めるだろうか。。。

清里駅前を通り、再びトレイルに入る。
標高1,643m、飯盛山へ。

ストックの4本足効果はてきめんで、登りをぐいぐいと進むことが出来る。
先行していたsokenさんをゲット。

そして前方にはハリ天さん。
しかし、差は徐々に詰めるもなかなか追いつけない。
フォトランしているものの、ストック無しのハリ天さんに追いつけない。





















これが実力差というもの。

しかし実力差とは別に、少しか前ら左足甲の部分に妙な圧迫感を感じ始めていた。
履いているS-LAB4のシューレースがきついというか何というか。。。
何度か緩めてみても、全く改善しなかった。





















飯盛山の頂上に着くとここから先は岩場メインの下り。

登山客に気を配りながら、ストックを前に突き出し下りを駆け下りる。

途中でsokenさんとしょんしょん丸さんに再び抜かれる。
さすがの速さ。

下りきった所で第5エイド到着。

第5エイド(60km 平沢峠駐車場)~第6エイド(72km 林道内貯水池)

私は水も食糧も十分あったのでエイドには寄らずそのまま下り続ける。

ここから暫くはロード。
延々と平地と緩い登りを進む。

この辺りから大腿部あたりが徐々に疲労し始め、思うように脚が振れない状態になってきた。
ストックを使いながら、小股走りをする。

しかしスピードがなかなか上がらず、後ろのランナーに少しずつ抜かれて行く。
エイドをパスした時にsokenさんとしょんしょん丸さんを抜いたが、ここで三度び抜かれることとなった。

こっちはストックで十分負荷軽減しているんだけど、やっぱりかなわないな。





















JR野辺山駅に到着。
標高1,345m、どうやらここがJRの駅の中で最も標高の高い駅らしい。

出来れば石碑と一緒に撮りたかったが、タイミング合わず普通に撮影。

野辺山駅を越えて間もなく、ハリ天さん、ハリマネさんに遭遇。

ハリマネさんの私設エイド。
ハリ天さんが声を掛けてくれて、有難くもフルーツをいただいた。
登り前のひとときに感謝です!





















さて、ここからは八ヶ岳を臨みながら1,400mから1,900mまで一気に駆け上がる。

公式HP上ではここは林道のはずだが、延々と続く砂利道。
これってロードではないな~?

林道とロードとの定義の細かい違いはあるとして(苦笑)
約10kmを登りに登る。

臀筋に集中しながら内股気味に走る。
登りとはいえ、10kmもあるのでここで走れるか否かが大きな違いなのだ。
と自分に言い聞かせる。

走れない訳ではない、
だけど走り続けるには辛い距離をどう走るか?

私の答えは「ケツで走る」

臀筋の小さな動きから大腿筋の大きな動きを作り出し、ランニングフォームへと発展させる。
レース前の練習中、臀筋の動きを意識しながら走れたことで、身体の芯の部分から動きを作り出すことが出来ているような気がした。
大腿筋が言うことを聞かなくなってきた今、臀筋が活躍してくれるのは有難い。

自分の走りの引き出しが増えた気がした。





















ようやく林道っぽくなってきた。
野辺山でお会いしたハリ天さんが、そろそろ追いついてくる頃だろうと思っていたが、姿が見えない。
何かあったのだろうか?

ようやく木々が現れて林道らしくなってきた。

視界が開けているよりは何かに囲まれている方が前進している気がする。





















※林道脇にあった小さな滝。


第6エイド(72km 林道内貯水池)~第二関門(96km 松原湖公民館前)
エイド到着。
人影は無く、無人の長テーブルに水入りのポリタンクがあるだけ...
殺風景過ぎてむしろ新鮮だw

水も食糧も潤沢にあるのでこのエイドを頼ることはないが、食糧切れのランナーはガックシ来ただろう。


1,800m付近に着くと小刻みなアップダウンを繰り返す。
登りで抜かれ下りで抜き返す、そんな展開が何度も繰り広げられる。

約1時間おきにジェルをハイドレにあるメダリストを胃に流し込む。

肌寒い気候であまり空腹や喉の渇きを感じることはない。
だけど補給せずに進むと、思わぬところでエネルギー切れを起こしかねない。
既にジェルの甘さには辟易していたが、義務だと思って口にした。


レース中盤、ひと山越えて安堵したい気持ちも山々だがここで歩いてはレース後半厳しくなる。

ランナーと交差する度に「また会いましたね~♪」なんて言葉を交わす。






















一方で、違和感のある左足甲の方はいよいよズキズキ疼き始めた。
はっきり痛みとなっているのが分かる。
登りでは影を潜めていた痛みが、平坦路や下りで顔を覗かせる。

思うように足を運べない。

徐々にフォームが崩れて、左足を引きずるような走りに変わっていった。
まだ中盤だというのに、マズいな。

ようやくアップダウンが終わり、下りのロードに入る。

17時前になってくると、周囲が徐々に暗くなってくる。
気温も一桁台になっただろうか、だいぶ冷え込んできた。
昼間はベースレイヤーだけで走っていたが、さすがに寒いのでバーサライトジャケットを着込み、耳当て手袋を付けた。

下り坂を勢いそのままに落ちていく。

程なくしてあるものがないことに気付く。

「サングラス!」

オークリーのUNKNOWN。
耳当ての上に掛かっている筈がどこを触ってみても見つからない。

レースでは滅多にしないサングラスだが、上着を着たタイミングで外れてしまったようだ。

さすがに引き返して登る気にもなれず、泣く泣く下り続けることにした。


ロードを下り切ると周囲は真っ暗闇。
しかしまだライトは点けない。

ロードの白線が暗闇でも見えるのでそのまま進む。

平坦路。
第二関門の松原湖はもうすぐのはず。
左足をかばいながら不自然なステップ。

行けどもなかなか関門らしきものは見えない。



暗闇の中、左手には野球場のような煌々と光るライト。

もしやこれが関門か!?
目標らしきものを見つけた私は、光を頼りに足の痛みをこらえながら進む。


しかし、しばらくすると順路が光からそれ始める。


関門だと思っていた場所がそうでなかった時のショックは大きい。

足は止まりたがっている。

市街地に入る。
今まで抜いて来たランナーに続々と先を越されていく。

24時間以内の完走なんて欲はどこかへ消えてしまった。

通り過ぎる影。

すぽるちばの大原さん。

追いすがることも出来ず、小さくなっていく姿をただ眺めているだけだった。

無力。
痛む足が腹立たしい。
なにビッコ引いてんだか...

まだ終わらないロードも腹立たしい。
下りきったら5kmもない筈だぞ、ちゃんと測ってるのか!?

そんな、今思うと恥ずかしいくらいに悪態まみれのランナーが、街灯の下ひとり、
とぼとぼと足を引き摺って行く。

ようやく係員の赤いランプを発見。
交差点を左折して間もなく第二関門、松原湖到着。18時17分。
24時間ゴールの想定通過タイムは19時18分。

こんなボロボロな状態でもまだ1時間早いとは。。

<続く>

2012年11月9日金曜日

OSJ八ヶ岳スーパートレイル100マイルレース<前編>

去る11月3日(土)4日(日)、OSJ八ヶ岳スーパートレイル100マイルレースに行ってきた。
100マイルレースはUTMFに続いて2度目。

超長距離なレースだけに、内容も長大。
一気に書ききれる自信がないので小出しで投稿します。
それでも遅いけど。。。

このレースは当初、八ヶ岳を舞台にロードと林道とトレイルがほぼ同じ割合の「走れるレース」という印象しかなかった。制限時間は30時間、UTMFの48時間と比べると18時間も短いスピードレースになると。

だが、レースの時期が近付くにつれ現地の情報が集まってくると、この時期の八ヶ岳は氷点下の世界、厳しい寒さであることをようやく理解し始めた。

■レース1週間前
自分の心許無い装備と知識に危機感を抱き、アートスポーツ渋谷店に日参することに。
そこで店員さんからレイヤリングの基本を教えてもらい、冬の装備を購入した。



























今回の装備。
【1st】Finetrack ドライレイヤー
【2nd】Patagonia ノースリーブ、c3fit アームウォーマー
【3rd】ARC'TERYX 中厚地のベースレイヤー

【4th】montbell バーサライトジャケット or ウルトラライトシェル
【5th】ユニクロ ウルトラライトダウン ※110kmデポ


【6th】montbell ストームクルーザージャケット ※110kmデポ
【脚】2XU ロングタイツ
【手頭】耳当て、手袋




アウターは普段着含めて自前のものがあったが、レース中の汗冷えを恐れて撥水性のあるドライレイヤーやベースレイヤー等を購入した。
冬山を知れば知るほど自分がいかに厳しい環境下で走ることになるのかわかってきた。

「登る」のではなく「走る」のである。
大量の汗が冷えた途端、冷たさとなって自分に襲い掛かってくる。
止まったらこのレース終わりだと覚悟していた。

■レース当日
スタート地点のプール平。
蓼科湖から2kmほど北上したところにある。
朝4時時点の気温は氷点下5℃。






















止まっていると体が震えだすほどの寒さ。
ダウンジャケットとストームクルーザージャケットは110kmのデポでピックアップ予定で、スタート地点ではバーサライト以下4枚を着ていた。
中にはロングTのみの人も数人いたが、この寒さに耐えられるだろうか。


スタート地点は、外気の寒さと人の熱気があいまって白煙が立ち込めていた。
トレラン仲間のDiet Go Goさんとちゃんぷさん、すぽるちばの石井さん、ノリさんにお会いし、お互いの健闘を誓い合った。

5時、暗闇の中スタート。
161km、未曽有の旅が動き出した。












■コース概要(スタート-第一関門)

スタートから第一関門までの54kmは、前半30kmは標高差200m程度の比較的走れるコース。残り24kmは標高1,100m-1,600mのロードとトレイル。この区間でタイムを稼ぐというより、初めてのレースで先が見えない中、後半に備えて様子見な走りをするランナーが大半だろう。

■スタート~第1エイド(8km 岳麓公園)
プール平から第1エイドの岳麓公園まではわずか8kmの下りロード。
飛ばしすぎないように心拍数150bpm前後を保つよう意識しながらペースを抑える。

優勝候補の平澤選手はあっという間に見えなくなったが、30人位の第2集団をしばらく走り続ける。
自分はかなり抑え目に走ってるつもりだったが、ほかの選手もかなり抑えているようだ。




















6時前。
東方から八ヶ岳が姿を現した。
あまりの美しさに足を止め、写真に収める。

スタートから1時間ほど経過すると、集団もばらけてきて前後300mに1,2人見える程度になってきた。
たまに並走する選手たちと会話を交わす。
お互いの調子、UTMFついて、この寒さについて等々。

レース中の会話は楽しみのひとつ。
自分に近い能力と価値観を持った人たちと知り合える良い機会。

走っているのはひとりであるが、
お互いの状況を共有することで、一緒にゴールを目指す同志として思えてくる。

強い意志を持った個々が、神経のシナプスのようにつながって、より強くなっていく。
















岳麓公園前の白樺林。
ここでも目を奪われる。

6時半過ぎに第一エイドの岳麓公園に到着。





















最初のエイドでは、水とバナナとトマトが振る舞われた。
しかもトマトは袋入り。
小さいながら皮がしっかり厚くてなかなか食べ応えがある。

さすがに一気に食べれないので、ジャケットのポケットに忍ばすことにした。



















エイド付近でハリマネさんに再会。撮影、ありがとうございます!

顔の白さで当日の寒さが伝わってくるでしょうかw

■第1エイド(8km 岳麓公園)~第2エイド(19km 八ヶ岳自然文化公園)
第2エイドまでは林道とロードが織り交ざった区間。
スタートしてからまだ一度としてトレイルに入ってないことにはうんざりしていたが、景色の変化が目を楽しませてくれる。

このレースは、予想タイムが全く読めない。

・制限時間が30時間と厳しいこと
・累積標高が7,200mであり、UTMF(8,500m、制限時間48時間)と大差ないこと
・寒さという不確定要素があること
・トレイル比率が低いこと

タイムレースとしては寒さとトレイル比率は好条件になるはずだが、寒さにも限度がある。
ざっくり目標としては26-28時間くらいと見ていた。

第2エイド(19km 八ヶ岳自然文化公園)~第3エイド(33km 登山歴史館)





















20kmを過ぎるとようやくトレイルに入る。
足元の草がふかふかしていて心地が良い。
やはりこうでなくては。

緩やかにアップダウンする地形が小気味よく、走るリズムを作ってくれる。
1,100mから1,300m付近まで登り、また下りる。

概ね調子は良い。
この区間で数人パスをした。

第3エイド(33km 登山歴史館)~第4エイド(43km 天女山駐車場)
登山歴史館から観音平まではロードを直登。
1,200mから1,600mまで2kmを一気に登る。

歩きを織り交ぜながら、小股で駆け上がる。
後ろから体格の良いランナーが速いペースで登ってくる。

私よりも身体が重そうだが、登るペースは力強い。
じりじりと差を詰められていくものの、私も脚は十分残っていたので先行を維持。
でも、景色が変わらないロードの登りは精神的にしんどいな。。。

つづら折りのカーブを越えて、観光客で人が溢れる観音平到着。
時刻は8時40分頃。

なんと、24時間ゴールを2時間近く上回るペースではないか!
私のタイム表だとこのままいくと22時間台でゴール!?

予想以上の早さに自分が驚いた。
そんなに飛ばしているわけでもないのに。






















落ち葉が敷き積もったトレイル。
岩がそこらじゅうにゴツゴツある。

たまに落ち葉に隠れた岩を踏んづけてしまってちょっと焦る。

意外とテクニカル。

でもこの緊張感が楽しい。
緊張するから楽しくて、楽しいから時間が経つのもあっという間なんだろうな。

観音平から天女山を通るこのトレイルは、標高1,500m-1,600mの間でアップダウンを繰り返す。




























こんな感じでぐゎっっと登り





















こんな感じでどどどっと下り

こんな感じでずどどどっっと登る。
右上の方に人がいるのが分かるでしょうか?

こんな調子で走っていると徐々にへばり始めてペースも落ちてくる。
後ろから来るランナーにずるずると抜かれ始める。
すぽるちばのしんやさんやDiet GoGoさん。

他人と競う気持ちはあまりないが、それでも抜かれるのはちょっと辛い。
落ちるのが少し早くないかい?





















標高1,800mに近づいてくると青空が少し見え始めた。
だいぶ暖かくなってきたので、バーサライトジャケットを脱いで耳当てを外し、首に巻いていたバンダナを頭に巻き替える。

景色を見ていて気分を良くした、落ちていたペースも徐々に回復。
先行されていた先輩ランナーのハリ天さんやあかさんに追いついた。

葉が黄色く色づいている。綺麗だ。
この辺からはレースというより行楽モードに変更。
せっかくの初八ヶ岳。目でも楽しまないと。

景色を見上げながらカメラを片手に撮影しまくるのであった。






















すっと伸びた針葉樹から黄金色の紅葉が。





















一気に視界が開けて八ヶ岳が!!!






















空と八ヶ岳と紅葉。
月並みな表現だけど、絵葉書みたいな光景が目に飛び込んでくる。





















八ヶ岳とグラサンと私w

しばらくこの場でとどまっていたかったが、今日はレース。
景色に心を奪われつつも足を進めた。

このあたりは観光客も多く、おばさま方から「頑張って~♪」と黄色い声援をいただいた。
ありがとう!頑張りますとも。

頑張れ!という言葉はどんな時にもらっても嬉しい言葉である。
気分が乗っている時はさらに力になるし、消耗したり落ち込んだりしている時には腹の底に火を灯してくれる。
直面している何かを乗り越える力になるのだ。



























青空の下、稜線を駆け抜ける。

軽くなった足取りのまま第4エイド、天女山駐車場到着。

第4エイド(43km 天女山駐車場)~第一関門(54km 清里)
ここでまた、ハリ天さん、あかさん、しんやさんに合流。
ロードを約100m、一気に駆け下りる。

ロードの下りは好きだ。
なぜなら力を使わずに自分の実力以上のスピードを出せるから。
(レース後半はそれが大分変ってくる訳だけど...)
ここでは、ショックアブゾーバーのような太い大腿筋がおかげさまで役立っている。

舗装路を下るとまたトレイルへ。





















このあたりのトレイルは、岩がごろごろしているのが特徴なのかもしれない。
岩をよけながら前進する。





















途中、小川を渡る場所があった。
順路は右上のトレイル。

足場があると思って葉っぱのあるところに着地したら、ズブズブズブッ!

川だった!
ただ川に葉っぱが浮いてるだけだったところがあり、足を思いっきり濡らしてしまった(苦笑)

昼まであったのが幸い。
夜だったら足が冷えて大変なことになってただろう。

早く乾くのを祈りながら小川を後にする。

<続く>