2012年12月31日月曜日

2012年総括

2012年をグラフで振り返る

年間走行距離は6,600km、累積標高は11万5,550mでした。

振り返ってみると、今年はUTMFを目指して来た時期とそれ以降で、トレランに対する姿勢に変化があった年だと感じています。


















1-3月はUTMFを走り切る脚をモノにするための【鍛錬期】。昨年末から月間距離600kmを目標に走行距離にこだわりました。未知の距離を走るためには、距離を踏んで脚の具合を実際に確かめるしか方法がありませんでした。とは言え、丸一日走れる時間もなく、細切れに走るしかない。細切れの600kmでどこまで通用するのか不安で一杯でした。

4-6月はいよいよUTMF本番【実戦期】。富士五湖で初の100km超えを経験出来たことで100マイルを走り切る自信をようやく持つことが出来ました。UTMFでは前半80kmまで腹を下しながらも何とか33時間台で完走。多くの仲間と「100マイル走破」という夢を叶えた瞬間でした。

7-9月はトレランシーズン本番までの【調整期】。涼しいキタタン、猛暑の信越を経ながら、引き続き走行距離600kmを踏んでいるものの、自分が本当に成長出来ているのか実感が持てず、練習の方向性に思い悩んだ時期でもありました。

10ー12月は、第二の【実戦期】思い切って練習量を減らしてレースに臨みました。そして12回目のハセツネ、持てる力を出し切りサブ11を達成することが出来ました。続く八ヶ岳ではマイナス10℃の極寒の世界で再び100マイルを完走することが出来、ロングトレイルに対する大きな自信に繋がりました。
同時に、自分の今の限界も垣間見えました。長い距離を踏んでいるだけでは伸びしろはないと。より速く走るためには練習の質を上げて行かなくてはと。テーマは「尻力」。11月より取り組み始めた坂ダッシュ。心肺機能と筋力を引き上げるための新たな【鍛錬期】に入りました。

こうして、UTMFを境にますますロングトレイルにのめり込み、新たな目標と手段に試行錯誤しながらも邁進することが出来たかなと思っています。未知だった100マイルは既知に変わりました。

今年も多くのトレラン仲間やラン仲間に恵まれ、本当にいい刺激を頂きました。トレイルの美しさを楽しむも走力向上を目指すも、自分が感じたことを近い価値観で見てくれる仲間が大勢いることは、本当に人生の財産だと思います。

また、仕事においても職場の仲間や上司に恵まれた一年でした。仕事が充実しているからこそランに打ち込むことが出来ました。頭の中は食べることか走ることで一杯で、本当申し訳ありません。

来年も全力で前に進みます。
どうぞ宜しくお願いいたします!

2012年12月12日水曜日

第13回みたけ山トレイルラン

2012年の最終戦、みたけ山トレイルランに行ってきました。

みたけ山はここ5年、連続して出場している大会。
1年の締め括りにと毎年出ようと思っている好きな大会のひとつです。

15kmの短い距離の中で、驚くほど変化に富んだコースであり、トレランの楽しさが凝縮されているところが最大の魅力です。

結果は、昨年のPBを約2分短縮し、何とかPBを出すことが出来ました。

レース展開はこんな感じです。
※ハリマネさん、elbさん、写真ありがとうございました!

スタート地点では最前列から3列目、好位置でスタート。
序盤の激坂では腰が張ってしまい、思うように飛ばせず30ー40番手位で激坂登頂。

そこから大塚山周辺のトレイル、傾斜が緩くなってきた地点ではしっかり飛ばして順位を上げる。
ケツのチカラ、全開!
腰の痛みも気にならなくなり歯車が合ってきた。
御嶽神社まですっ飛ばす。

御嶽神社付近、沿道の皆さんからたくさんの応援を頂く。

ロックガーデンに入って200mの登り。
ウエストに付けたボトルで給水しながら登る。給水所だけだと自分のペースで補給出来ないのでやはり安心感はある。
揺れは少し気になったけど。
100m先にはJETさん、もっと頑張れば追いつくかな~と希望を抱く。
(結局叶わなかったけど(苦笑))


























鍋割山山頂。
冷たい風が吹き、ノースリーブだとさすがに凍えた。

ここから奥の院を経て、追い越し禁止区間の急な下り。

後ろにひとりランナーが迫っていたので、いつでも抜いて下さいとひと声掛けた。

自分より速いランナーにはスムーズに抜いてもらう。駆け引きとかするレベルではないから。

追い越し禁止区間の下り。
自分なりにプッシュするが、年々下りに対する恐怖心が高くなってる。

恐さを堪え、一歩一歩の接地時間を短くし、ポンポンと下った。

すると前方にランナー。差は50cmもない位詰まるが抜くことは出来ない。
ここは追い越し禁止区間。なのでひたすら区間が終わるまで我慢。。。背後も詰まる。

区間が終わり、ようやく渋滞から解放。

急な下りが終わったら、あとは御嶽神社まで最後のロード。
スタートから1時間15分経過。

目標の1時間20分までまだ充分ある。
前方と背後のランナーを気にしつつも全力疾走。

1時間18分、御嶽神社下到着。
ゴールまでは階段を登る。
ラストの階段は本当に苦しい。
力を振り絞る。

あと10m。


ゴールタイムは1時間19分27秒。29位。
前回の記録(1時間21分25秒)を約2分更新。

去年は積雪があり路面状況は良くなかったことを差し引くと、実質1分も短縮出来ていないかも。

スプリントレースはそれほど甘くはないですね。
















上記はみたけ山の心拍数データ。
平均心拍数170bpm。

大きな進歩はなかったけど、自分なりには追い込めたと思います。


2012年のレースはこれでおしまい。

緩い登りは以前より強くなった気がするけど、キツイ登りはまだまだ弱いことが分かった。
手応えを感じた部分とまだまだだなと感じた部分両方ありますが、やるべき課題は見えているので克服に向けてひたすら取り組んでいこうと思います。

2012年12月1日土曜日

OSJ八ヶ岳スーパートレイル100マイルレース<後編>


関門に到着すると、中央にたき火、奥にテントがある。
そこで多くのランナーが暖をとったり食事をとるなどして英気を養っている。

テントでは汁物が振る舞われており、有難くいただく。
また、8個ほど持っていったジェルが尽きかけていたので、カントリーマームやバナナ味のスポンジケーキみたいな固型のお菓子を移動用に何個か詰め込む。
次のエイドではデポジットできるので、それまでの辛抱だ。

最後に気付けのコーラ。
やはりエイドにはこれがなくては。

長居をしたい気持ちを抑えて関門を後にした。























■コース概要 第二関門-第三関門
第二関門(96km)の松原湖公民館前から第三関門(145km)の女神湖まではロードと林道ながら2つのピークを超える夜間ステージ。特に2個目のピークの大河原峠は、標高2,100mで夜間は氷点下になる。未知の寒さと遭遇する。














第二関門(96km 松原湖公民館前)―第7エイド(110km 八千穂レイク)
デポジットがある八千穂レイクまでの13kmはひたすらロード。車道沿いの歩道を行く。
民家も店もないただの道路。見えるのは数百メートル間隔で点灯するランナーだけ。

ロードによる足への衝撃を避けるため、落ち葉が敷き積もっていた場所を敢えて選ぶ。

長く緩い登り。
普通に走れば13kmという距離は1時間程度で到着する距離だが、ペースが落ちている今は時速6km程度で2時間強か。

ストックを使い、ケツ走りで駆け上っていく。
多少の登り坂は走る、これだけは続けようと決めていた。


前方には、ストックを使ったランナーがいる。
登りでもペースを落とすことなく小刻みなフォームで駆け上がっている。

彼の姿を目標にしながら、しばらく追走する。


登りでは左足首の痛みは少し収まってきた。






















ようやく100km地点到着。
あと60km(苦笑)

まだまだ中盤なのだ。
折れるにはまだ早いけど、あと60kmもあるのかというのが正直なところ。


標高1,700m付近。
登りがひと段落し、踊り場になってきた。
小刻みなアップダウンが3kmほど続く。
たった3kmといえど、走っているときは無限のように思えた。

登りで先行していた大原さんが追い付いてくる。

私より遥かに力強いパワーウォーク。
歩きの速さが全然違う。

お互いの健闘を誓い合いながら別れ、すぐに見えなくなった。


下りになると再び足首の痛みがぶり返す。

好きな下りなのに身体を突っ込めない辛さ。
後続のランナーに次々と追い抜かれていく。

ダメダメな走りをしている自分が本当に情けないけど、情けないなりにゴールを目指さなければならない。絶対に完走すると決めたのだから。

夜間でこれくらいの標高になると寒さも本格的。
ニットの手袋では指先が完全に冷えてしまう。

もう一枚持って来ればよかったと後悔したが、後の祭り。

応急措置として手持ちのビニール袋で右手を覆い、左手は小さなジップロックの袋に無理やり突っ込む。
不格好だが手袋1枚よりはマシ。

下りと寒さに喘ぎながら第7エイド、デポ地点に到着。

■第7エイドにて
エイドではDMJの礒さんがサポートとして道案内をしてくれた。
走っていても寒いのにサポートはどれだけ大変だろう、本当に頭が下がる。

エイドの中心にはたき火があって、その周りに折畳み椅子が囲んでいる。
ここでデポの荷物を取り出しながら皆、支度をしている。

たき火に当たり暖をとるものの身体が温まらない。
ジェル等のゴミをデポ袋に入れ、新しいジェル5本を新たに詰め込もうとするも、手が震えて作業が捗らない。
寒さと眠気払いに、エイドで販売していた1杯100円のコーヒーを買って少し落ち着く。

隣には先行していた大原さんがいた。
レース中、手が寒くてどうにもならなかったことを話すと、なんと私にご自身の手袋を貸して下さった。ご自身はGOREの手袋をするから大丈夫だと。。

神に思えた。
私は誰から困っているときに同じことが出来ただろうか。

次々とランナーが到着し、たき火の周りに集まってくる。
ここはある意味、この八ヶ岳のレースを凝縮しているような場所だった。

早々と準備を終えてコースに復帰するランナーもいれば、この場で微動だにせず動けなくなったランナーもいる。
極寒レースの洗礼がまさに始まっていることを感じた。

おそらく氷点下であろうこの寒さは、バーサライトジャケットだけでは当然凌げない。
当初はデポでモンベルのストームクルーザージャケット1枚を上に着ようと思っていたが、それだけではどうにも心許無い。
私は、使うことはないだろうと思っていたユニクロのウルトラライトダウンを取り出し、中に着込んだ。

食糧と防寒具を装着し、動きたくなくなる前にエイドを出発した。

第7エイド(110km 八千穂レイク)―第8エイド(125km 林道内)
エイドを出発してすぐの所に直進方向に案内板があったので、その矢印に沿って道路を下る。

二重にした手袋は風を通さず随分と温かい。大原さんのお陰だ。
デポした上着も十分に機能しており温かい。
今まで走ってきた汗も、ファイントラックのドライレイヤーのお陰で体に残留することなく外に排出され、汗冷えも防げている。

道の周りにはなにもない。
暗い木々かコンクリートの壁だけ。
無機質な下り。


気分転換できる要素がないまま、また足首の痛みとの戦い(第?ラウンド)が始まる。

やや角度がある下り。
しばらく走り続ける。

コースの目印と思われる赤いカラーコーンがたま~に現れるが、それ以外の案内板がない。
カラーコーンにも「OSJ」の文字はなくよく見ると「...トライアスロン...」みたいな小さな文字。

本当にこの道であっているのだろうか。。。
不安が膨らむ。

時折後続のランナーが現れるといくらか安心するが、同じようにミスコースしたとも限らない。

戻って確かめるほどの精神的余裕も無駄も出来ないため、疑心暗鬼のまま下り続けるしかない。

そう思い、下り続けた。


さらにしばらく下りると、意外な場所にエイドが。
どうやらコースは合ってたらしい。

ロードから林道に切り替わる場所、あれ?もうエイドに着いてしまったの?

ともかくコースが間違ってなくて良かった。

温かいお汁粉をいただき、身体を温める。
食欲は依然として旺盛。
足首は痛むものの体内にエネルギーは満ちている。

ガソリン満タンのサスペンションが逝かれた故障車みたいなものだ。

エイドの案内を見ると、どうやらここから25kmはエイドが無いらしい。
第8エイドが予定地より手前に変更になったのか?
恐らくここはまだ120km辺り。

レース前夜祭は、飯にありつけなかったのでコース説明を聞かずに外食してしまったので、ここの話もあったのかも。

止まり過ぎて身体が冷えないうちに林道に入って行く。

第8エイド(125km 林道内)―第9エイド(135km 大河原峠)

足首の状態は少しずつでも確実に悪化している。
平坦路でも痛みでストライドを稼げない。思うよう走れず次々と抜かれる。

林道を下りきると突然、川が現れた。
川幅3m水深30cm位だろうか。

スタッフもいてこの川を渡るよう案内される。
「石が凍っているので気をつけて下さい~!」
凍ってる?そしてそこを渡る?

川に横たわる石は表面が完全に凍っていた。まじでツルツルに。
まじか。

選択肢は、この凍った石の上を渡るか、それとも川の端まで行き水深の浅いところで入水するか(当然足は濡れる)
川で足を濡らそうものなら、このあと氷点下のコース上で凍傷にでもなりかねない。

ストックを川に突き刺し、石の上でバランスを取りながら、なんとか濡れずに渡った。


しかし、ストックがなかったら確実に川に足を突っ込んでしまっただろう。
そう思うとぞっとする。

11月4日(日曜日)
日付が変わった。

標高1,100m。
ここから2,100mまで林道を登り詰める。すでに氷点下であろう地点からさらに深みへ。

限り無き氷点下への挑戦が始まる。

走ることは諦め歩く。
なるべくリズミカルに。
右っ左っ右っ。

しかし左足首がやはりリズムを維持出来ない。
結局、右っ、右っ、右っとなってしまった。

前方には青いジャケット姿のランナー。
sokenさん。
寒さと眠気でかなり辛そうだ。

決して他人事ではない状況。
辛いけど頑張ろう。
そう誓い合って先を進んだ。

夜はやはり眠い。
私にも睡魔が襲ってくる。

眠気で、視界が狭まりぼやけて来る。
真っ直ぐに歩いているつもりでも身体がふらつく。

ストックを突いたまま立ち寝しようと何度も思った。

変わり映えしない林道。
つづら折りに登って行く道は、さっき登って来た道と見間違うほど似ている。


景色が変わらないのは精神的にきつい。

標高が100m上がる度に気温は○℃下がる。
次第に雪が舞い始め、林道沿いの小川には巨大な氷柱が現れる。

背後から車のヘッドライト。
大会の車と救急車が通り過ぎる。
上で何かあったのだろうか。

低体温症になったランナーがいても不思議ではない。

眠い痛い寒い。
三重苦。

個人的にはだんご三兄弟の方が好きだ。

氷点下のこの場所では止まるも地獄である。

止まることも許されず、混濁した意識の中を進み続ける。


記憶がかなり曖昧だが、恐らく標高1,900mあたり。
転機は訪れた。

背後から岡野さんが現れ、フラフラになっている私を見かねて声を掛けてくださった。
私は今の辛い状態をありのまま話した。

そして岡野さんがウエストポーチからおもむろに出したのは、痛み止めのロキソニンと胃薬、それに眠気覚ましの眠々打破。

「ロキソニンだけだと胃が荒れるから胃薬も一緒に飲んでね。」

有り難すぎるお言葉にただただ感謝しか言えなかった。

岡野さんだって辛い時間帯なはずなのに、ご自分の装備を分け与えて下さるとは。
でも、強がって「岡野さんに悪いから要りませんよ」と言えるだけの状態ではなく、本当に欲しかったものをいただいた有り難さで一杯だった。

八ヶ岳には神がもうひとりいたのだ。

早速、眠々打破とロキソニンと胃薬を流し込む。

お礼を言い、岡野さんを見送る。


効果が出るのにそれほど時間は掛からなかった。
視界がぼやける程の眠気は次第に薄らぎ、左足首の痛みは嘘のように消えた。

薬が効いている4時間が勝負。
切れたらもう一錠ある。
切り札を得た安心感は半端ない。

頂上まであと標高200m。
痛みの消えた足は足取り軽く、登りも訳なく走破する。

今まで抜かれまくったランナー達に追い付き追い越す。
痛み止めでこんなに変わるものなのか。。。

時折現れる下りでも、足首の痛みがない(正確に言うと感じない)ので思い切って攻められる。

しばらくすると岡野さんに追い付いた。
岡野さんのおかげで復活出来たと改めて感謝した。

130km走破。
残り31km。

ようやく最高地点の2,100m地点に到着。
地獄の林道が終わり舗装路へ。

明かりが見えた。
渇望していた大河原峠のエイドだ。

エイドの手前でサポートをされているケノケノさんが声を掛けてくれた。
氷点下10℃の世界でランナー達を待っているのは神業に等しい。

すぽるちばの皆さんによる公式エイド。
先ほど林道を登っていた救急車が停車していた。
何かあったと言うより待機しているような感じだった。

テントには湯気が立ち込めており、温かいスープやお菓子が並んでいた。
序盤に一緒に走ったしんやさんも出迎えてくれた。

コーンスープを一杯いただく。
温かいスープが胃袋に落ちていくのが分かる。

極寒の楽園。
大河原峠のエイドはまさにそんな場所だった。

しかしここにずっと居るわけにはいかない。
居れば居るほど動けなくなり、ここに落ち着いてしまうだろう。

ポテトチップスを頬張り、皆さんにお礼をして早々に発った。

第9エイド(135km 大河原峠)―第3関門(145km 女神湖)
大河原峠からは舗装路の下り。
ロキソニンが効いているお陰で走れる。

路面は全体的に乾いているが、端の方は所々白く凍結している。
前日に雨でも降っていたら滑って危ないかもしれない。

スリップしないよう、方向転換をなるべく少なく駆け下りる。

このあたりで足首の痛みがぶり返して来たため、ロキソニンと胃薬を再投入。

ロードが終わるとトレイル、そしてスキー場へ。
スキー場の斜面を直滑降ときた。

草が伸びてフカフカな斜面は時に足を取られる。
コブになっている箇所も所々あり、踏み場を誤ると膝に要らぬ負担を掛けかねない。

上下動する上体を抑えつつ2段の斜面を駆け下りた。

女神湖。
湖の周りをグルッと一周し、第三関門に到着する事となる。
UTMFのゴール前で河口湖を回らされたのと似たような展開。

関門が近くにあるのにわざわざ遠回りしなければならないのは、心折れそうになる。
それも試練のうち。

取りあえず、湖を周回する外灯を頼りに走る。

AM5:04、第三関門到着。
スタートから24時間が経過した。
レース前半では24時間以内ゴールも夢ではないと思っていたが、やはりそう甘くはなかった。
でもくやしさは無い。

関門横にはレース最大級であろうエイドがあり、お菓子や汁物ご飯等をもてなしてくれた。

有り難いことは有り難いけど、残り16kmちょっとでこんな豪勢にしてもな...とも思った。
エイドを厚くするなら野辺山近辺と八千穂あたりが嬉しい。

と言いつつ、あるものは有り難くいただき、5分程度で関門を出発した。


■コース概要 第三関門-ゴール
第三関門(145km)の女神湖からゴールの蓼科湖プール平までのコースは、前半5kmは白樺湖まではひたすらロードを下る。そして白樺湖からはトレイルに入り最後のピーク、八子ヶ峰へ向かう。
そこから先は下りだけだ。














第3関門(145km 女神湖)―第10エイド(150km 白樺湖)
残りはあと16km。

ピークはあとひとつ、八子ヶ峰だけ。
これから朝陽が登るため、頂上に着いても氷点下まで冷えることはないだろう。
しかし、140km走ってきた脚で500m登るのは決して楽ではない。

今は嵐の前の静けさ。
次のエイド、白樺湖までは街道を緩やかに下っていく。

不意に、対向車線で車が止まった。
車から現れたのは、なんとトレラン仲間ののぶかさんと夏香さん。

レース前にウェアリングを写真付きで報告した際、載っていた黄色いジャケットを見て、私だと分かったみたいだ。まさかすれ違いざまに見つけてくれるとはっ。
元気に走れていることを報告をし、激励をいただいた。

再び一人旅に戻る。

徐々に周囲が薄明るくなり、ヘッドライトを消す。
ようやく日の出。

完全に日の出となった頃に白樺湖到着。
周辺は観光地っぽく綺麗なホテルが目に飛び込む。

「白樺リゾート 池の平ホテル」である。
CMで見たことがあるのでちょっと感動。

白樺湖を南下、右側に湖を望みながら走っていると最後の第10エイド到着。

最後のトレイルに入る前にある最終エイド。
女神湖で十分補給はしてきたが、目の前に食糧があるとついつい手にしてしまう。

バナナを頬張った。そしてエナジードリンクのモンスター。

スタッフの方が「モンスター、冷たいのにしますか?温かいのにしますか?」と声を掛けた。
モンスターって温めて飲むの?ちょっとどんな味が不安だったので冷たいのにした。
後から仲間に聞いた話によると、ホットのモンスターもなかなか旨かったらしい。。。

最後の補給を終え、最後の区間に突入する。

第10エイド(150km 白樺湖)―ゴール(161km 蓼科湖プール平)
ラスト11kmは、八子ヶ峰を登ってゴール地点の蓼科湖プール平まで下るトレイルとロードのコース。
最後にどんなトレイルが待ち構えているか楽しみでもあり、怖くもあった。

うねるようなロードの登りを越え、眼前に現れたのは、





















なんとスキー場だった。
スキー場を登るのか。

それもひと山ではない。
登り切ってしばらく移動してまたスキー場を直登するのだ。
無理やり累積標高を稼いでいるような、そんなコースだ。





















ひとつ目を登りきった下界の景色。
徐々に朝陽が当たり始めている。
遮るものがないので、向かいの山の起伏が鮮明に見える。


ひとつめの山を登り切ったあとは、踊り場のような場所を往く。
朝陽に照らされるすすきが輝き、花道のようだった。

スキー場直登2本というえげつないコースではあるものの、登るとそこは美しい世界。























2つ目の直登を上がり切った直後、八子ヶ峰でスタッフの方に撮っていただいた。
ここが頂上だと思い込んでいたのだが、実はまだ登りがあったというオチがつく。。。(苦笑)




















再びすすき野原を行く。
すすきが朝陽に照らされた光景は、まるで「風の谷のナウシカ」さながら。

有名なシーン、ナウシカがオウムの触覚に包まれた金色の海原のようである。




















さらに登ると道標に到着。
道標には白樺湖と蓼科湖の方面が記載されていた。
蓼科湖まであと何kmあるか、それが知りたかったのだが。。。

標高1,800m付近、尾根伝いで何度も偽ピークに一喜一憂しながらようやく本当のピークに辿り着く。

最後の下り。
残り3kmを標高1,800mから1,300m付近まで一気に駆け下りる。

八子ヶ峰までの登りはスキー場直登だったが、ここから先も同様の斜度。
そして細いけもの道や岩場を下っていく。

タイムはもうどうでも良かった。
ゴールさえ出来れば。

気温は徐々に上がりダウンジャケットも不要な状況だったが、ゴールまで間もない距離、暑いけど我慢。

八子ヶ峰のトレイルが終わり、ロードへ。

「あと2.5km!」
スタッフの声。

え!?意外とまだあるなぁ。

ここまで着たら多少の誤差など気にしても仕方ない。

街道に通じる小路を抜け、ラストの登り。最後の最後の踏ん張り処、嫌がる脚を走らせる。

登り切るとゴールが見える。
沿道の声援。

どんなに疲れていても疲れても、やはりゴールでは元気な姿を見せたい。

走る走る、走る。

27:38:01、私の八ヶ岳100マイルが終わった。
















※礒さん、撮影ありがとうございます!

■レース後
このレースはただ100マイルという距離だけではない。11月の八ヶ岳がいかに厳しい寒さなのかを思い知った。延々と続くロードで左足首は象のように浮腫んでしまった。
身体へのダメージという点ではUTMFより大きかったと思う。

510人中138人完走(完走率27%)という数字がレースの厳しさを物語っている。

実際、大原さんと岡野さんの救いが無かったら、完走も難しかったと思う。お二人あってのゴールだ。

レース直後、滝川さんとお話する機会があったので、レースの過酷さを率直に伝えた。
すると夏への時期変更も検討するかもしれないとのことだった。

伺った時はいい案だと思ったが、でもすぐに思い直した。

極寒の100マイルレース。
この過酷な条件のまま来年も開催して欲しいと。

過酷さゆえ、装備等のレギュレーションも厳しくする必要だと思うが、また11月に開催して欲しい。
そして私もまた八ヶ岳の地に戻ってきたい。

2012年11月13日火曜日

OSJ八ヶ岳スーパートレイル100マイルレース<中編>

50kmを越え、舗装路へ。
舗装路を下って第一関門、清里に到着。時間は11:53。



エイドでは、バナナやグレープフルーツ等果物が振る舞われていた。
ジェルやバーばかりだとあまりにも味気ないので、有難い。

エイドではsokenさんやしょんしょん丸さんと合流。

お二人とも私よりずっと速いランナー。
もしやかなりのハイペースなんじゃ。。。。












■コース概要(第一関門-第二関門)

第一関門(54km地点)の清里から第二関門(96km地点)松原湖公民館前までのコースは、起伏に富んだコース。区間の序盤を除いて林道か舗装路。トレイルではないアップダウンがどのようにレースを左右するだろうか。。。


第一関門(54km 清里)~第5エイド(60km 平沢峠駐車場)

第一関門以降はようやくストックが使用可能となる。
迷わず関門でストックを取り出し、ロードの下りから使い始める。

ストックは登りでも重宝する道具だけど、下りでもかなり使える。

ストックなしの場合は、着地時に負荷が大腿部や膝に集中するのだけど、ストックを前脚替わりに使うと、ストックと脚で負荷分散が出来る。
まさに4本足で走る動物のような感覚。

下りを4本足でひた走る。





















途中、街路樹の紅葉に足を止める。
鮮烈な赤。これから何度、写真を撮るのに足を止めるだろうか。。。

清里駅前を通り、再びトレイルに入る。
標高1,643m、飯盛山へ。

ストックの4本足効果はてきめんで、登りをぐいぐいと進むことが出来る。
先行していたsokenさんをゲット。

そして前方にはハリ天さん。
しかし、差は徐々に詰めるもなかなか追いつけない。
フォトランしているものの、ストック無しのハリ天さんに追いつけない。





















これが実力差というもの。

しかし実力差とは別に、少しか前ら左足甲の部分に妙な圧迫感を感じ始めていた。
履いているS-LAB4のシューレースがきついというか何というか。。。
何度か緩めてみても、全く改善しなかった。





















飯盛山の頂上に着くとここから先は岩場メインの下り。

登山客に気を配りながら、ストックを前に突き出し下りを駆け下りる。

途中でsokenさんとしょんしょん丸さんに再び抜かれる。
さすがの速さ。

下りきった所で第5エイド到着。

第5エイド(60km 平沢峠駐車場)~第6エイド(72km 林道内貯水池)

私は水も食糧も十分あったのでエイドには寄らずそのまま下り続ける。

ここから暫くはロード。
延々と平地と緩い登りを進む。

この辺りから大腿部あたりが徐々に疲労し始め、思うように脚が振れない状態になってきた。
ストックを使いながら、小股走りをする。

しかしスピードがなかなか上がらず、後ろのランナーに少しずつ抜かれて行く。
エイドをパスした時にsokenさんとしょんしょん丸さんを抜いたが、ここで三度び抜かれることとなった。

こっちはストックで十分負荷軽減しているんだけど、やっぱりかなわないな。





















JR野辺山駅に到着。
標高1,345m、どうやらここがJRの駅の中で最も標高の高い駅らしい。

出来れば石碑と一緒に撮りたかったが、タイミング合わず普通に撮影。

野辺山駅を越えて間もなく、ハリ天さん、ハリマネさんに遭遇。

ハリマネさんの私設エイド。
ハリ天さんが声を掛けてくれて、有難くもフルーツをいただいた。
登り前のひとときに感謝です!





















さて、ここからは八ヶ岳を臨みながら1,400mから1,900mまで一気に駆け上がる。

公式HP上ではここは林道のはずだが、延々と続く砂利道。
これってロードではないな~?

林道とロードとの定義の細かい違いはあるとして(苦笑)
約10kmを登りに登る。

臀筋に集中しながら内股気味に走る。
登りとはいえ、10kmもあるのでここで走れるか否かが大きな違いなのだ。
と自分に言い聞かせる。

走れない訳ではない、
だけど走り続けるには辛い距離をどう走るか?

私の答えは「ケツで走る」

臀筋の小さな動きから大腿筋の大きな動きを作り出し、ランニングフォームへと発展させる。
レース前の練習中、臀筋の動きを意識しながら走れたことで、身体の芯の部分から動きを作り出すことが出来ているような気がした。
大腿筋が言うことを聞かなくなってきた今、臀筋が活躍してくれるのは有難い。

自分の走りの引き出しが増えた気がした。





















ようやく林道っぽくなってきた。
野辺山でお会いしたハリ天さんが、そろそろ追いついてくる頃だろうと思っていたが、姿が見えない。
何かあったのだろうか?

ようやく木々が現れて林道らしくなってきた。

視界が開けているよりは何かに囲まれている方が前進している気がする。





















※林道脇にあった小さな滝。


第6エイド(72km 林道内貯水池)~第二関門(96km 松原湖公民館前)
エイド到着。
人影は無く、無人の長テーブルに水入りのポリタンクがあるだけ...
殺風景過ぎてむしろ新鮮だw

水も食糧も潤沢にあるのでこのエイドを頼ることはないが、食糧切れのランナーはガックシ来ただろう。


1,800m付近に着くと小刻みなアップダウンを繰り返す。
登りで抜かれ下りで抜き返す、そんな展開が何度も繰り広げられる。

約1時間おきにジェルをハイドレにあるメダリストを胃に流し込む。

肌寒い気候であまり空腹や喉の渇きを感じることはない。
だけど補給せずに進むと、思わぬところでエネルギー切れを起こしかねない。
既にジェルの甘さには辟易していたが、義務だと思って口にした。


レース中盤、ひと山越えて安堵したい気持ちも山々だがここで歩いてはレース後半厳しくなる。

ランナーと交差する度に「また会いましたね~♪」なんて言葉を交わす。






















一方で、違和感のある左足甲の方はいよいよズキズキ疼き始めた。
はっきり痛みとなっているのが分かる。
登りでは影を潜めていた痛みが、平坦路や下りで顔を覗かせる。

思うように足を運べない。

徐々にフォームが崩れて、左足を引きずるような走りに変わっていった。
まだ中盤だというのに、マズいな。

ようやくアップダウンが終わり、下りのロードに入る。

17時前になってくると、周囲が徐々に暗くなってくる。
気温も一桁台になっただろうか、だいぶ冷え込んできた。
昼間はベースレイヤーだけで走っていたが、さすがに寒いのでバーサライトジャケットを着込み、耳当て手袋を付けた。

下り坂を勢いそのままに落ちていく。

程なくしてあるものがないことに気付く。

「サングラス!」

オークリーのUNKNOWN。
耳当ての上に掛かっている筈がどこを触ってみても見つからない。

レースでは滅多にしないサングラスだが、上着を着たタイミングで外れてしまったようだ。

さすがに引き返して登る気にもなれず、泣く泣く下り続けることにした。


ロードを下り切ると周囲は真っ暗闇。
しかしまだライトは点けない。

ロードの白線が暗闇でも見えるのでそのまま進む。

平坦路。
第二関門の松原湖はもうすぐのはず。
左足をかばいながら不自然なステップ。

行けどもなかなか関門らしきものは見えない。



暗闇の中、左手には野球場のような煌々と光るライト。

もしやこれが関門か!?
目標らしきものを見つけた私は、光を頼りに足の痛みをこらえながら進む。


しかし、しばらくすると順路が光からそれ始める。


関門だと思っていた場所がそうでなかった時のショックは大きい。

足は止まりたがっている。

市街地に入る。
今まで抜いて来たランナーに続々と先を越されていく。

24時間以内の完走なんて欲はどこかへ消えてしまった。

通り過ぎる影。

すぽるちばの大原さん。

追いすがることも出来ず、小さくなっていく姿をただ眺めているだけだった。

無力。
痛む足が腹立たしい。
なにビッコ引いてんだか...

まだ終わらないロードも腹立たしい。
下りきったら5kmもない筈だぞ、ちゃんと測ってるのか!?

そんな、今思うと恥ずかしいくらいに悪態まみれのランナーが、街灯の下ひとり、
とぼとぼと足を引き摺って行く。

ようやく係員の赤いランプを発見。
交差点を左折して間もなく第二関門、松原湖到着。18時17分。
24時間ゴールの想定通過タイムは19時18分。

こんなボロボロな状態でもまだ1時間早いとは。。

<続く>

2012年11月9日金曜日

OSJ八ヶ岳スーパートレイル100マイルレース<前編>

去る11月3日(土)4日(日)、OSJ八ヶ岳スーパートレイル100マイルレースに行ってきた。
100マイルレースはUTMFに続いて2度目。

超長距離なレースだけに、内容も長大。
一気に書ききれる自信がないので小出しで投稿します。
それでも遅いけど。。。

このレースは当初、八ヶ岳を舞台にロードと林道とトレイルがほぼ同じ割合の「走れるレース」という印象しかなかった。制限時間は30時間、UTMFの48時間と比べると18時間も短いスピードレースになると。

だが、レースの時期が近付くにつれ現地の情報が集まってくると、この時期の八ヶ岳は氷点下の世界、厳しい寒さであることをようやく理解し始めた。

■レース1週間前
自分の心許無い装備と知識に危機感を抱き、アートスポーツ渋谷店に日参することに。
そこで店員さんからレイヤリングの基本を教えてもらい、冬の装備を購入した。



























今回の装備。
【1st】Finetrack ドライレイヤー
【2nd】Patagonia ノースリーブ、c3fit アームウォーマー
【3rd】ARC'TERYX 中厚地のベースレイヤー

【4th】montbell バーサライトジャケット or ウルトラライトシェル
【5th】ユニクロ ウルトラライトダウン ※110kmデポ


【6th】montbell ストームクルーザージャケット ※110kmデポ
【脚】2XU ロングタイツ
【手頭】耳当て、手袋




アウターは普段着含めて自前のものがあったが、レース中の汗冷えを恐れて撥水性のあるドライレイヤーやベースレイヤー等を購入した。
冬山を知れば知るほど自分がいかに厳しい環境下で走ることになるのかわかってきた。

「登る」のではなく「走る」のである。
大量の汗が冷えた途端、冷たさとなって自分に襲い掛かってくる。
止まったらこのレース終わりだと覚悟していた。

■レース当日
スタート地点のプール平。
蓼科湖から2kmほど北上したところにある。
朝4時時点の気温は氷点下5℃。






















止まっていると体が震えだすほどの寒さ。
ダウンジャケットとストームクルーザージャケットは110kmのデポでピックアップ予定で、スタート地点ではバーサライト以下4枚を着ていた。
中にはロングTのみの人も数人いたが、この寒さに耐えられるだろうか。


スタート地点は、外気の寒さと人の熱気があいまって白煙が立ち込めていた。
トレラン仲間のDiet Go Goさんとちゃんぷさん、すぽるちばの石井さん、ノリさんにお会いし、お互いの健闘を誓い合った。

5時、暗闇の中スタート。
161km、未曽有の旅が動き出した。












■コース概要(スタート-第一関門)

スタートから第一関門までの54kmは、前半30kmは標高差200m程度の比較的走れるコース。残り24kmは標高1,100m-1,600mのロードとトレイル。この区間でタイムを稼ぐというより、初めてのレースで先が見えない中、後半に備えて様子見な走りをするランナーが大半だろう。

■スタート~第1エイド(8km 岳麓公園)
プール平から第1エイドの岳麓公園まではわずか8kmの下りロード。
飛ばしすぎないように心拍数150bpm前後を保つよう意識しながらペースを抑える。

優勝候補の平澤選手はあっという間に見えなくなったが、30人位の第2集団をしばらく走り続ける。
自分はかなり抑え目に走ってるつもりだったが、ほかの選手もかなり抑えているようだ。




















6時前。
東方から八ヶ岳が姿を現した。
あまりの美しさに足を止め、写真に収める。

スタートから1時間ほど経過すると、集団もばらけてきて前後300mに1,2人見える程度になってきた。
たまに並走する選手たちと会話を交わす。
お互いの調子、UTMFついて、この寒さについて等々。

レース中の会話は楽しみのひとつ。
自分に近い能力と価値観を持った人たちと知り合える良い機会。

走っているのはひとりであるが、
お互いの状況を共有することで、一緒にゴールを目指す同志として思えてくる。

強い意志を持った個々が、神経のシナプスのようにつながって、より強くなっていく。
















岳麓公園前の白樺林。
ここでも目を奪われる。

6時半過ぎに第一エイドの岳麓公園に到着。





















最初のエイドでは、水とバナナとトマトが振る舞われた。
しかもトマトは袋入り。
小さいながら皮がしっかり厚くてなかなか食べ応えがある。

さすがに一気に食べれないので、ジャケットのポケットに忍ばすことにした。



















エイド付近でハリマネさんに再会。撮影、ありがとうございます!

顔の白さで当日の寒さが伝わってくるでしょうかw

■第1エイド(8km 岳麓公園)~第2エイド(19km 八ヶ岳自然文化公園)
第2エイドまでは林道とロードが織り交ざった区間。
スタートしてからまだ一度としてトレイルに入ってないことにはうんざりしていたが、景色の変化が目を楽しませてくれる。

このレースは、予想タイムが全く読めない。

・制限時間が30時間と厳しいこと
・累積標高が7,200mであり、UTMF(8,500m、制限時間48時間)と大差ないこと
・寒さという不確定要素があること
・トレイル比率が低いこと

タイムレースとしては寒さとトレイル比率は好条件になるはずだが、寒さにも限度がある。
ざっくり目標としては26-28時間くらいと見ていた。

第2エイド(19km 八ヶ岳自然文化公園)~第3エイド(33km 登山歴史館)





















20kmを過ぎるとようやくトレイルに入る。
足元の草がふかふかしていて心地が良い。
やはりこうでなくては。

緩やかにアップダウンする地形が小気味よく、走るリズムを作ってくれる。
1,100mから1,300m付近まで登り、また下りる。

概ね調子は良い。
この区間で数人パスをした。

第3エイド(33km 登山歴史館)~第4エイド(43km 天女山駐車場)
登山歴史館から観音平まではロードを直登。
1,200mから1,600mまで2kmを一気に登る。

歩きを織り交ぜながら、小股で駆け上がる。
後ろから体格の良いランナーが速いペースで登ってくる。

私よりも身体が重そうだが、登るペースは力強い。
じりじりと差を詰められていくものの、私も脚は十分残っていたので先行を維持。
でも、景色が変わらないロードの登りは精神的にしんどいな。。。

つづら折りのカーブを越えて、観光客で人が溢れる観音平到着。
時刻は8時40分頃。

なんと、24時間ゴールを2時間近く上回るペースではないか!
私のタイム表だとこのままいくと22時間台でゴール!?

予想以上の早さに自分が驚いた。
そんなに飛ばしているわけでもないのに。






















落ち葉が敷き積もったトレイル。
岩がそこらじゅうにゴツゴツある。

たまに落ち葉に隠れた岩を踏んづけてしまってちょっと焦る。

意外とテクニカル。

でもこの緊張感が楽しい。
緊張するから楽しくて、楽しいから時間が経つのもあっという間なんだろうな。

観音平から天女山を通るこのトレイルは、標高1,500m-1,600mの間でアップダウンを繰り返す。




























こんな感じでぐゎっっと登り





















こんな感じでどどどっと下り

こんな感じでずどどどっっと登る。
右上の方に人がいるのが分かるでしょうか?

こんな調子で走っていると徐々にへばり始めてペースも落ちてくる。
後ろから来るランナーにずるずると抜かれ始める。
すぽるちばのしんやさんやDiet GoGoさん。

他人と競う気持ちはあまりないが、それでも抜かれるのはちょっと辛い。
落ちるのが少し早くないかい?





















標高1,800mに近づいてくると青空が少し見え始めた。
だいぶ暖かくなってきたので、バーサライトジャケットを脱いで耳当てを外し、首に巻いていたバンダナを頭に巻き替える。

景色を見ていて気分を良くした、落ちていたペースも徐々に回復。
先行されていた先輩ランナーのハリ天さんやあかさんに追いついた。

葉が黄色く色づいている。綺麗だ。
この辺からはレースというより行楽モードに変更。
せっかくの初八ヶ岳。目でも楽しまないと。

景色を見上げながらカメラを片手に撮影しまくるのであった。






















すっと伸びた針葉樹から黄金色の紅葉が。





















一気に視界が開けて八ヶ岳が!!!






















空と八ヶ岳と紅葉。
月並みな表現だけど、絵葉書みたいな光景が目に飛び込んでくる。





















八ヶ岳とグラサンと私w

しばらくこの場でとどまっていたかったが、今日はレース。
景色に心を奪われつつも足を進めた。

このあたりは観光客も多く、おばさま方から「頑張って~♪」と黄色い声援をいただいた。
ありがとう!頑張りますとも。

頑張れ!という言葉はどんな時にもらっても嬉しい言葉である。
気分が乗っている時はさらに力になるし、消耗したり落ち込んだりしている時には腹の底に火を灯してくれる。
直面している何かを乗り越える力になるのだ。



























青空の下、稜線を駆け抜ける。

軽くなった足取りのまま第4エイド、天女山駐車場到着。

第4エイド(43km 天女山駐車場)~第一関門(54km 清里)
ここでまた、ハリ天さん、あかさん、しんやさんに合流。
ロードを約100m、一気に駆け下りる。

ロードの下りは好きだ。
なぜなら力を使わずに自分の実力以上のスピードを出せるから。
(レース後半はそれが大分変ってくる訳だけど...)
ここでは、ショックアブゾーバーのような太い大腿筋がおかげさまで役立っている。

舗装路を下るとまたトレイルへ。





















このあたりのトレイルは、岩がごろごろしているのが特徴なのかもしれない。
岩をよけながら前進する。





















途中、小川を渡る場所があった。
順路は右上のトレイル。

足場があると思って葉っぱのあるところに着地したら、ズブズブズブッ!

川だった!
ただ川に葉っぱが浮いてるだけだったところがあり、足を思いっきり濡らしてしまった(苦笑)

昼まであったのが幸い。
夜だったら足が冷えて大変なことになってただろう。

早く乾くのを祈りながら小川を後にする。

<続く>

2012年10月30日火曜日

OSJ八ヶ岳スーパートレイルに向けて(ウェア編)

先日の投稿では八ヶ岳100マイルのコースについてレポートしてきました。

調べれば調べるほど過酷な気象条件だということがわかり、冬山装備の必要性を痛感。
今までトレラン歴は長いものの、冬山のトレラン・レースは未経験なので、アートスポーツに行って店員さんに冬山装備の相談をしてきました。

で、購入したのはこれ。




















FinetrackのドライレイヤーとARC'TERYXの中厚地のベースレイヤー
八ヶ岳スーパートレイルのコーナーがあったので、その近くの店員さんに声を掛けてじっくり相談させていただきましたm(_ _)m

レース中は、外の気温が氷点下になるだけでなく、発汗によるウェア濡れによって内側から冷える。
これを軽減するためのものです。

ベースレイヤーは、汗を速やかに外側に逃がして身体をドライな状態に保つ。
汗による冷えが体力を奪うので、なるほどこれは重要かも。

ハセツネくらいの時期と距離であれば、走り続けているので身体の冷えを気にすることはありませんでしたが、100マイルレース、しかも冬ということであれば重要性は非常に高くなります。

店員さんが、実演ということでベースレイヤーの外側から水をかけてくれました。
水がレイヤーの上を転がり、しっかり撥水。
これはもう買うしかないなと。(金無いのに...)

汗っかきな私はより撥水性の高いパワーメッシュを選択。
これだけ着るとスケスケで、ハードゲイな感じですw


続いては、ベースレイヤー。
速乾性と着心地を重視して、中厚地のものを選びました。

ARC'TERYXってザックのイメージが強いのですが、ウェアも作ってるんですね。
疎くてすみません。。

冬山を経験しているランナーはレイヤリングについて熟知されている方も多いと思いますが、私にとっては学びの多い時間でした。

最終的にはこの2レイヤーに加えて、アウターにバーサライトジャケットストームクルーザージャケット等で対応しようと思います。

脚は、ロングタイツにするかカーフにするかまだ迷ってます。。。