2009年7月21日火曜日

第2回おんたけウルトラトレイル100km

7月19日、長野県王滝村にて開催された「おんたけウルトラトレイル100km」に行ってきました。

自分にとって初の100km。
最長は、日本山岳耐久レースの71.5km。
未知の距離だけど、過去の延長上で行けなくもなさそう、そんな距離感。

レースが19日0時スタートのため、18日に現地入り。
八王子から特急に乗り、木曽福島まで移動。
そこからバスを乗り継ぎ、王滝村へ。
およそ5時間の旅でした。

■会場入り
サロモン・スント チャレンジモニター企画でサロモンブースに集合。

ランナーズ、サロモン、スントそれぞれご担当の方とご挨拶。
歓迎いただきちょっと照れくさかったが、いつものレースとは一風変わった雰囲気を味わえるのだ。
こんな嬉しいことはない。
※大会特別協賛 SUZUKIのバイク。中免ないが欲しくなってしまった。
※長野放送の番組撮影。お笑い芸人さんも大会に参加するようだ。

そして早々に撮影。
赤い彗星ウェアに着替え、広場で走る姿を撮影することとなった。
走る姿と立ち姿の2カット。
見られていることを意識してるせいか、どうも口元が緩んでしまう。怪しいことこの上ないw
ド素人がプロのカメラマンの方にとってもらうとどうなのか、楽しみであり、ドキドキである。

撮影後は、インタビューでレースの意気込みなどをお話ししたり、同じチャレンジモニターの方と情報交換したりして有意義な時間を過ごした。

コースは終始ガレ場(岩などで固い足場)で、足への負担が高いらしい。
道幅は車1台通れるほどあるので、通常のけもの道のような狭い道のように渋滞はないようだ。
この方は昨年完走したが、この足場に相当苦労したとのこと。
私も足場には注意せねば。その前に100km走りきる走力の方が心配なのだけど。。。

夕方、仲間と合流。
会場では、カーボローディングパーティなどはなく各自で食事。
会場から30分以上離れたコンビニまで行き、夕食を調達。
食事とレースの諸準備をして、結局寝たのは21時。寝れたのは賞味1時間だった。ちょっと眠い。

■レース前
22:30にスタート地点直通のシャトルバスで移動。
バスの中では、談笑する人、静かに集中力を高めている人、寝てる人、それぞれ。
レース前の時間を思い思いの形で過ごしている。

スタート1時間前。
会場には、ザックとヘッドライトで装備している人々600人で溢れ返っている。いよいよレースが始まる。緊張して落ち着かず何度もトイレに行く。

スタート30分前。
チャレンジモニター4人揃って団結式。
互いに自己紹介。
ロードのウルトラ経験者やおんたけ、ハセツネ経験者など、みなさん猛者揃い。
足を見ると、カモシカのように引き締まっていて、見るからに速そうだ。

「カワウソのブログ書いてる方ですよね~」と、声を掛けていただいた。
ブログで書いた、2週間前の北丹沢12時間耐久のこととか、SUUNTO t3cには高度計がないからどうしようか迷ってる話とか、みなさんご存じだった。
「そういえば、高度計どうしました~?」
など自己紹介する前から、近況の会話をしてるって不思議な感じw
つたないブログを読んでいただき感謝感謝です。
こうして短い時間だが交流を深めつつ、皆の快走を誓い合った。

※どうでもいいけど、カワウソの由来
私は、眉が太く目が細くて猫背。
社会人1年目の時、先輩から吉田戦車の「かわうそ君」と呼ばれてました。

■0~40km(~第1関門)
「プファ~ン」
午前0時。
ラッパ?の合図とともにスタート。
全長105kmの長い旅が始まった。

まず目指すは第1関門、40km地点。
最初から15km地点までは緩やかな登り。
そこから一気に20kmまで下り、そのあとはまた40kmまで緩やかに登る。

スタート直後は前から30番目あたりにいたため、トップ集団としばらく走る。時速12キロ程度とついていけなくもないペースだが、維持できる訳もなく、次第に離される。

そして開始早々、3つのハプニングが起きた。
1.ヘッドライトが帽子の上で跳ねる。
2.ザック脇に掛けたサプリ用バックが跳ねる。
3.ザック脇に掛けたパワーバーボトルがふっ飛んだ。

いずれも跳ねる系。
この3つはレース前に試さず、ぶっつけ本番だったのがよくなかった。
走るたびに揺れて体にあたるものだから落ち着かない。
揺れるバックを押さえながら、どうしたものかひと思案。

1.帽子を外してヘッドライトを直に装着
2.サプリ用バックをフックで固定
3.パワーバーボトルはサプリ用バックに収納

サプリ用パックの中身がかさばり、フックが邪魔して開閉が不自由になるが走り易さには替えられない。
ハプニングはひとまず解決。
試用は可能な限りすべきと反省。。。

5km地点、ロードから林道に入る。
そこからはガレ場が続く。
無数の小さな岩に水たまり。固くて凹凸のある路面。
登りは比較的緩やかだが、登り一辺倒なのはうんざりする。

苦手な登り。走れず歩く。
歩くスピードはせいぜい時速5km。
もともとトップの方にいたため、どんどん抜かれていく。

起伏が緩やかで道幅の広いコースは、走力ある人の力が出しやすいコースに思える。
私のように登りと下りで走りにムラがある人間は、苦戦するだろう。

長かった登りを終え、途中ロードを交えながら下り。
登りでは抜かれっぱなしだったが、下りで巻き返す。
下りはひたすら脱力。
地面に垂直に姿勢を維持し、傾斜に任せて足を前に振り出して走る。
楽して速く走れるものだから気持ちがいい。

XT WNGSは衝撃を吸収し、凹凸でもしっかりグリップしてくれるので、躊躇することなく走れた。

20km地点までのタイムは、2時間弱。
第1関門目標は5時間。なかなか順調。
関門まで残り20km、気合入れて登るのみっ。

登りもしっかりとした足取りで走る。
長い登りで心なしかももの付け根が張る感じ。
ペースは時速8.6kmと若干落ちたが、30kmを3時間10分程度で通過。
30kmには小エイドがあり、水を1杯飲む。
ハイドレーションにはたくさん残っていたが、冷たい水は気持ちがシャキッとする。元気をもらった。

第1関門まで残り10km。
午前3時。
急に眠気に襲われる。眠いっ。
途中あくびを何度も繰り返し、惰性で進んでいく。
寝足りなかったか。。。
たまらず、水たまりに手を入れ顔を洗う。

すると、このあたりから徐々に雨が降ってきた。
小雨なので眠気を和らげるにはちょうどいい。
その時は、これから来る雨のことなどつゆも知らず。。。

次第に夜があけ、周囲が薄明るくなってきた。
ヘッドライトもここでお役目終了。
レース前にPetzlのミオRXPを買ったが、短時間、広い道幅のおんたけではオーバースペックだったかもしれない。

40km地点。第1関門到着。
到着タイムは4時間50分。
ほぼ予定通り。

第1関門には大エイドステーションがあり、
・ゼリー
・おにぎり
・バナナ
・トマト
・キュウリ
・水、お茶
・塩
など食糧が充実。
空腹ではなかったが、今後のことを考えしっかりいただく。
とくに王滝村の野菜(トマト、キュウリ)はみずみずしくて旨かった。
エイドステーションでしっかり補給を行い、71km地点第2関門へ向かう。

■40~71km(~第2関門)
第2関門までのコースは上浦沢から三浦貯水池を通る30km。そして大きく3つのステージに分かれる。
前半10kmが下り
中盤10kmが平地
後半10kmが登り
※レース中終始するガレ場。右側には崩れた土砂。

この区間は私にとって苦行の始まりでした。

第1関門を通過して間もなく、突然の雨。しかも土砂降り。
打ちつける雨に体が冷える。
低体温症になるのは避けたいのでレインウェアを着用。
持ってきて良かった。。。

路面は水浸しになり、池と化した路面。
シューズにはすっかり水が染み込んでいる。

第1関門でしっかり補給して腹が満足したのか、再び眠気。
下り以外は眠りながら歩くような感じ。
ハセツネのような急勾配なら諦めて路肩で眠ってたかもしれない。それほど眠かった。
池に足が浸かって、その冷たさで多少目が覚める、そんな状況だった。

そんな調子で10km1時間20~30分弱で低調ラン。
あまりに抜かれ過ぎたので、気にするのをやめてしまった。

60km地点で8時間弱。
第2関門まであと10km。残りは登り。

長距離の疲れからか登るペースは一気に落ちる。
途中、同じチャレンジモニターの2人に抜かれる。
私はあいさつするのがやっとの状況。
登りでもしっかりとした足取りで走って行った。
登りで走り続けかれる走力、さすがです。

長い登りで内ももの付け根が張り、足を持ち上げながら登るような感覚で進む。
外もも下るたびに悲鳴を上げ始めた。

このあたりから私含め、体調の変化でペースを落とす人がちらほら見え始めた。

途中、チャレンジモニターの方のご友人に会い、しばし会話。
登りは姿勢を立って腕を振るとよいとアドバイスいただき、すがる思いで実践する。
登りは、技術・体力ともにまだまだ改善の余地ありです。

71km。第2関門を9時間で通過。
2つ目の大エイドステーションには第1関門にあった食糧と、選手自身の荷物交換ができる。
ここで選手は、ウェアやシューズを着替えたり、アイシングをして残り30kmに備えていた。

私は、補給する必要はないと判断して何も用意しなかったが、それが間違い。この場を栄養補給の機会としてしか考えていなかった。

不要な荷物を回収することを忘れていた。
雨で重くなったレインウェアやヘッドライトもザックから出せずに引き続き携行。
水を補給したため、装備が一層重くなる(泣)

バナナ2本おにぎり2個でしっかり栄養補給を行い、再出発。

■71~86km(~第3関門)
第3関門は86km地点。15km区間。
私が走った最長距離はハセツネの71.5km。

ここからは私にとって未体験ゾーン。
これから起きる全てのことは、良くも悪くも事実として受け止める必要がある。

小刻みに続くアップダウンと下り。
普段であれば15km1時間半で行けそうなコースも、今の私には厳しい。
度重なる眠気と足の痛みで思い切って下りを攻められない。
朦朧とした意識の中、路上の岩模様が字や絵に見えたりする。ちょっとマズイな。
歩き基調なペースになるので、平均時速も5km台に落ち込む。

怪我や体調不良で歩いている人と遭遇すると、互いを労い合う。
100kmトレイルという環境の中、苦しんでると声も掛けたくなる。
ここまで来たら何とかみんなゴールしたいものだ。

第3関門を2時間45分、スタートからおよそ13時間で通過。

■86~105km(ゴール)
最後の大エイドステーションでそうめん、どんぐりクッキー、どんぐりパン、パワージェルを補給。食欲だけはしっかりあるのがせめてもの救い。
最後のコースは前半10kmでピークを2つ超えると、残り10kmはひたすら下り。

登りではしばしば寝そうになりながら進み、下りでももが悲鳴をあげて目が覚める。
ただ幸いなのは、膝は曲がること。
ももの筋肉は痛くて走ることがままならなかったが、堪えれば早歩きまではできる。
痛さを感じぬ振りして騙し騙し走ったり歩いたりを繰り返しながらゴールを目指す。
残り5km。ようやく林道を抜け、アスファルトのコースへ。
15キロ走るのに2時間45分掛った。。。

残りはアスファルト。
下りの衝撃が直接足に響く。ラスト5kmが異様に長く感じる。
ゴール地点の松原スポーツセンターのドームはどこだ?とあたりを見回すも
濁流流れる川があるだけで、ゴール地点らしきものはない。
まだ遠いのか。。。

雨がまた土砂降りとなり、体に打ち付ける。
晴れて一度脱いだレインウェアもザックの中でびちょびちょになっている。
このまま濡れて進む。

ロードの途中、案内係の方が残り4kmを知らせてくれた。
近くにはサロモンのワンボックスカー。
いまだゴールしていないチャレンジモニターの私を探してたのかもしれない。
とっくに残り3人はゴールしているはず。
赤い彗星ならぬ赤い鈍行列車になってしまった。
まぁ、今頃ネガティブになっても仕方がない。しっかりと完走することだ。

時折走り、へこたれてまた歩く。
そんなことを繰り返しながら、長い長いアスファルトの直線を進む。
松原スポーツセンターのあのドームを探して。。。(苦笑)

緩やかな左カーブを越えると右折の矢印、そして待ちに待った松原スポーツセンターのドームが見えた。
大会の旗が掲げられた橋を通り抜け、長い坂を登り500m近くある直線を越えると最後の直線。最後くらいは走って見せねば。

ゴールから100m手前あたりで私のゼッケン番号がアナウンスされる。
105kmの長い旅もこれで終わる。
残りの直線。
最後はバンザイでゴール。

タイムは16時間40分くらい。
夕方になってしまった。

遅かったにも関わらず、ランナーズ、サロモン、スントの皆さんに温かく迎えられた。
「お待たせしてしまって本当ごめんなさい。」申し訳ない気持ちでいっぱい。
いいタイムだして製品のいいところを思いっきりレビューしたかったのですが、良くも悪くもこれが実力。

私以外のチャレンジモニターの皆さんは、10時間代1名(なんと総合7位!?)13時間台2名と好走された模様。すごいっ!
最後お会いできなかったのは残念でしたが、全員が完走できてよかったです。
■ゴール後
ゴール後は、サロモン・スント製品についてのアンケートと会話を交えてレビューをおこなった。
今回のモニターで、私が一番よかったのはシューズ。
XTWINGSは、おんたけのようなガレ場でも突き上げを感じることなく走ることができた。また、地面の凹凸にも滑ることなくグリップし足首を捻る心配もなかった。
短距離トレイルでもスピードを犠牲にすることなく、路面のシビアな状況でも対応できる総合力のあるシューズだと思った。

私はシューズで大事なのは以下3つだと思う。
・軽量性
・衝撃吸収性(地面の突き上げから足を守る力)
・安定性(凹凸のある路面を捉えるグリップ力とシューズが捻れないこと)

XTWINGSはすべて満足いく内容。5点満点でした。
上記3点はおそらく定量化できる内容なので、こういう基準があってもいいかも知れません。(すでにあるかも知れないが。。。)
このあたりのウンチク系はまた落ち着いたら改めて。。。。

初の100km。
途中足が持たなかったのは悔しいけど、これも実力。
課題は基本的な走力。
新たな課題でもあり、恒久的にあった課題。
地道に改善してまた来年リベンジしたいと思います。

次回レースは日本山岳耐久レース。
頑張ります!

P.S
帰りは、諏訪湖パーキングエリアの銭湯で体を流し夕食。
八王子まで帰るものの終電が終わったため、マンガ喫茶で一夜を過ごすことに。(レース前後は結構使ってます。マンガ喫茶。)
始発で帰宅しました。

4 コメント:

ひな さんのコメント...

完走おめでとうございます。
お疲れ様でした。

100km超、遠い…。
チャレンジモニターの任務も全うできて良かったですね〜。
ハセツネ、がんばりましょう(*^_^*)

708 さんのコメント...

ありがとうございます!
100km終始ガレ場でハセツネとはまた違った厳しさでした。
いい経験ができてよかったです。来年はリベンジ。。。

ハセツネ、お互い頑張りましょう!

tako(run_tako) さんのコメント...

早速拝読しました。リアリティーに富んだ書きっぷりがとても参考になりました。ありがとうございました。

来週も頑張って下さい。もしお会いできたらいいですね。

708 さんのコメント...

takoさん
コメントいただきありがとうございます!
備忘録のつもりで書いてるブログなので、諸々つたない文章で恐縮です。
昨年のレースからもう一年も経つのかと思うと感慨深いです。

来週はお会いできたらいいですねっ。

105kmの長い旅、楽しみましょう♪

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